2018/02/24
作品に対する忠実さ
「作品に対する忠実さ」とは、初演された当時のままに「再現」することではない。多くの評論家は誤解をしている。時代に応じた色々な解釈を加えて行くことが演出家の仕事。スコアに書いてある通りやっているのに、何故、忠実ではないと言われてしまうのか。ヴェルディは、「椿姫」で、1853年当時の「現代」を描いた。
例えば、モーツァルト。当時の人たちがモーツァルトの音楽から得た感情を、現代の人たちの中にそのままもたらすのは、非常に困難なこと。
コンテクストの違いが、150年前(ヴェルディの時代)とは違うものを、作品が投げかける。
作品に対する忠実なアプローチによって、150年も前の出来事を、現代にもある問題として捉え直すことができる。
実際の人生では体験することのないような事件を与えてくれる。それが、オペラ作品の価値。
歌の内容と音楽が一致していないということが、オペラには時々起こる。歌う人たちに言っておきたいことは、そんな時は、音楽の側に立ち、歌の中味は忘れて欲しいということ。
記譜法に従って書かれたただの黒い点。そこに人生を投影することによって、命を吹き込むことになる。
最初のアイデアを、最後の幕まで貫き通すことができるか、考えないといけない。
どのプロダクションでも、特に3幕は、ひたすら悲劇的に描かれる。しかし、ヴィオレッタは、自己憐憫とは対極にある。死の前に、自分の絵姿を託すあたり、強い人間として描かれている。
「宗教は悩める者の救い」「貧しい人に施しを」「教会に行きましょう・・・」検閲をかわすために書かれた部分。
演劇とオペラの違い→演劇は音楽に合わせる必要がない→自由度が高い
言葉を確認することで、その人物が良くわかる。